保険治療

Insurance treatment

◆虫歯があって、しみることもあるが神経を除去しない場合
植わり方によって保険点数の差がありますが、レントゲンを撮り、麻酔後、抜歯を行い、処方箋を出して2,500円から4,500円の範囲です。

◆虫歯が痛くて神経の治療を行う場合
・臼歯部の場合
必要に応じて麻酔を行い、軟化象牙質(いわゆる虫歯の部分)を除去します。そこを消毒後、セメントで被覆(被うこと)して、予後を診て、痛みが無ければ形成し、印象(型)を採り、欠損に応じた補綴物(被せもの)を作ってセットし、咬合の調整を行います。金属と歯牙の境目は擦り合わせをして、金属下部のう蝕を防ぐ努力をしています。 部分的な金属(インレー)の場合、1,500円から3,000円、全部か殆どを覆う金属(アンレー、クラウン)の場合、3,000円から5,000円程度です。
・前歯部の場合
軟化象牙質を取るところまでは同じですが、見えるところなので歯の色調に合わせてコンポジットレジン(いわゆるプラスティック)を充填します。その際に要望をお聞きして色調を白くすることも行っております。 一本あたり700円から1000円です。

歯の内部構造

◆虫歯の程度が大きく、熱いものを口に含んでもしみてきて、拍動性の疼痛が伴う場合、または以前神経の治療が行われていて不完全だったり、根尖に病巣が見られたり、排膿や疼痛がある場合
前者は神経が生きているので、麻酔後、抜髄(神経を抜くこと)します。
後者は死んだ歯なので麻酔はしませんが、不完全な治療で根の先が生きている場合は麻酔をして、先まで開けるか、殺菌する薬剤を入れて次回に開けるかします。
根の治療は細菌との闘いです。歯の軟化象牙質は細菌層なので取りきらなくてはなりません。
また根管に以前の充填物が有る場合も同様です。
この作業は地味な割りに(見えないところですから)意外と時間が掛かり、患者さんに嫌われるところではありますが、めげずにやっています。目的は根管内の無菌化です。
治療中は見栄えや、噛み合わせを考えて、プラスティックの仮歯(無料)を作ってそれを入れます。
平均的な根の治療回数は4~5回程度。

補綴物(被せ物)の選択について
前述の歯は仮歯の段階で、コアまたはポスト(根の中に入れる芯のこと)が入れやすい大体の形成を行っております。
根を詰めた後、再度形成を行いコアの型を取ります。
材料は銀合金のメタルが大半ですが、下顎の前歯の場合、ポストが細いのでパラジウム合金で作り破折予防に備えています。
また噛み合わせ、歯軋り等で唇側の根管の辺縁が欠けている場合は、グラスファイバーのポストを使います。勿論保険の範囲です。
前歯部(犬歯まで)は硬質レジン前装冠(金属の被せ物にプラスティックを貼ったもの)で、小臼歯部(その後ろ二本)はレジンジャケット冠(プラスティックの被せ物)で歯の色調にあった保険の補綴物が用意してあります。
ただし実際は、ある技工士さんのラボと提携してレジンではなく、グラディア(ハイブリッドの保険外の商品)で作っています。そのため良い色調が出せるようになっています。例外として噛み合わせが特に強かったり、義歯のクラスプ(フックのこと)を掛ける歯だったりした場合は出来ません。残念ながら大臼歯部も保険ではパラジウム合金のクラウン(被せ物)です。
ポストを入れて形成後、印象を採って前歯部で3,000円、臼歯部で1,500円位です。セット時は硬質レジン前装冠で7,000円弱。
パラジウム合金のクラウンは4,000円強から5,000円強の範囲です。

◆歯の欠損が一歯の場合
通常は取り外しの効かないブリッジになることが多いです。大体、前述の金額の本数分を考えてください。支台に使う歯が死んでいる場合、レントゲンを参考にして、根の治療から始めることが多いと思います。その際にブリッジの仮歯を作ります。

◆歯の欠損が複数本の場合
出来るだけ取り外しの効かないブリッジにしていますが、適応外の症例もあり、その場合は義歯になります。例えば最後臼歯が二本失われた場合、延長ブリッジは出来ません。前から三番目の犬歯が失われた場合も、二、四番目だけではブリッジは出来ません。もう一本の歯が必要です。(歯牙の強度からの計算に因ります) 欠損数の程度によって部分床義歯になる場合、すぐに型を採って作られるときと、そうでないときがあります。まず鈎歯(金属のフックを掛ける歯)となる歯牙に前処置(フックの掛けやすい形にすること)を行います。また咬合平面を考えて、歯列を揃える必要があります。義歯を入れても左右に咬みこめなければ、使い勝手の悪いものになります。そうならない為の準備と考えてください。
欠損本数が少ない場合は既製のトレイ(歯列の型を採る器具)で印象を採り、咬み合せを採ります。次回で完成義歯が出来上がって来ます。

◆欠損本数が多い場合、または無歯顎(歯が全く無い)の場合
まずスナップ印象で全体の歯列の型を採ります。それに基づいてプラスティックでカスタムトレイを作ります。何故既製トレイでは駄目なのかというと、それでは可動粘膜の部分が採れ過ぎてしまうからです。口唇の裏側の粘膜は緊張の無い状態で印象が採られなくてはいけません。その為にカスタムトレイを使って粘膜部分の辺縁形成を行った後、印象を採るのです。これは自費治療と同じプロセスを採っています。
次に咬合床を作り、咬み合わせの位置を決めます。次にロウ堤(ワックスで出来た歯肉)に人工歯が並んできたもので口元、咬み合わせを見てもらい、良ければ完成です。クラスプ(フックのこと)の数や欠損歯数によって金額にばらつきはありますが6,000円から18,000円の間です。義歯はセットして終わりという訳には行きません。調整を行い、落ち着いて咬める状態にまでもって行きます。