いがらしデンタルクリニック

港区新橋の歯科 いがらしデンタルクリニック|駅前徒歩2分の歯医者
東京都港区新橋1-9-1 北川ビル3F 
診療時間:10:00-13:00/14:00-19:00 休診日:土・日・祝日  

TEL:03-3572-6254
ホーム > コラムvol.8~vol.14

コラムvol.8~vol.14


vol.8 ●お口の中はブラックボックス4

vol.9 ●お口の中はブラックボックス5

vol.10 ●義歯とブリッジとインプラント1

vol.11 ●義歯とブリッジとインプラント2

vol.12 ●義歯とブリッジとインプラント3

vol.13 ●インフレの中で

vol.14 ●口臭雑感1

vol.1~7 vol.15~22

vol.8 ●お口の中はブラックボックス4


 前回までの三回分は余り具体的な話が無かったので、面白味に欠けている点を反省しつつ、最近来られた患者さんを例にとって話をしたいと思う。私のクリニックの近くに多少名の知れた鮨屋があって、そこの大将が入れ歯の調整を頼んできた。勿論その店の従業員(世代は同じ位なのだが)の紹介である。上は総義歯で、下は右下に三本だけ残存歯がある部分床義歯である。保険外の義歯ではあるが調整は出来ておらず外れ易かったり、噛めなかったりするだろうと容易に推測が付く代物であった。そこで値段を聞いてビックリ。領収書を出さなくていいなら安くして、一床百万を六、七十万でいいとのことで、上下で百三十万だったそうな。正直私もやってみたいです。まづ義歯の技工料だが、これもかなりのばらつきがある。細かい話になるとどの様な装置を付けるかによっても値段は変わる。平均的に五、六万プラス金属代で、この技工料も不景気と過当競争で下がる傾向にある。金属床というとコバルトクロム床になり、さほど金属代は掛からない。次にチタン床があり硬いがその分調整が難しい。そして何と云っても最高級は白金加金床(所謂プラチナゴールド)である。貴金属はロシアからの輸入が多く、生産調整をしていることもあって、グラムあたりの単価は上がる傾向にある。大将の義歯はコバルトクロム床で普通なら三、四十万辺り、チタン床は五十万前後、白金加金床なら七十万前後が妥当ではある。但し技術料が加味されれば話は違ってくる。例えば義歯を作るには型を採らなければならない。既成のトレー(型採り器具)では採れ過ぎる。つまり顎堤(土手)と、頬口唇の移行部を採れ過ぎないようにしなければならない。そうでないと口唇を緊張させたときに義歯の辺縁を持ち上げ、浮かせてしまい、落ちてしまうのである。大将の悩みもそこにあった。従って口唇を引っ張っても義歯が持ち上がらないところまで辺縁を削って、床の張替え(リベース)を行い、床の最後方に吸着を増すために小さな土手(ポストダム)を形成した。直ぐには完全な吸着には至らなかったが、前方の口唇を緊張させても義歯は落ちなくなった。その日はそこまで。何故ならば、少し使うと義歯は沈むので吸着は増す筈だから。次回は、調整で削り過ぎて真っ平らになった大臼歯に、プラスチックを足して山と谷を作らなくてはならない。牛や馬のように草ばかり食べている訳ではないから、肉や繊維質のものが噛み切れるようにしたいのである。下の義歯は奥が痛いとのこと。土手も吸収して低くはなっているが、削りに削って床の面積が小さくなり過ぎていた。これは口腔内で直接に手直しするには限界があった。保険でもこれよりはマシなものが出来るので、勧めたところ、保険の義歯は嫌だから多少ならお金を出すとのことであった。ポイントは下顎の後方の張り出した(かつて大臼歯のあった)部分に何処まで床が乗せられるかである。床は小さくするほど、当たりが強くなる。患者さんの言うことを聞くと、大将のときのようになってしまう。技術料の内訳がお分かり戴けましたか。

ポリスマガジン 2007年12月号


vol.9 ●お口の中はブラックボックス5→ →

ページのトップへ戻る