いがらしデンタルクリニック

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コラムvol.15~vol.22


vol.15 ●口臭雑感2

vol.16 ●作為ある診断

vol.17 ●商品説明の陥穽(かんせい)

vol.18 ●インプラント治療のフロンティア

vol.19 ●プロビジョナルレストレーションの効用

vol.20 ●「オーストラリア」を観て

vol.21 ●インプラントの現状1

vol.22 ●インプラントの現状2

vol.1~7 vol.8~14

vol.20 ●「オーストラリア」を観て


 今年の初めに封切られた「オーストラリア」は夏にDVDにもなっているが、近年にみる水準の高い作品であった。監督は前回も「ムーランルージュ」でニコール・キッドマンを使い、彼女の魅力を余す所無く伝えたバズ・ラーマン。但し前作品と比べ話のテンポは圧倒的にこなれたものである。主人公のキッドマン扮する英国の貴族がオーストラリアに来るいきさつをお伽話風に手早く解説してみたり、もう一人の主人公のアボリジニの少年との出会いを、時空を前後させて、強調するところは巧みであった。そして三人目の主人公たる、牧童を演じるヒュー・ジャックマンとの出会いの前後を軽快な喜劇仕立にし、シリアスな本筋との対比を際立たせていた。また二人が牧場に行くまでの道中で、ジャックマンが身体に石鹸を付け、手桶の水で洗い流す場面では彼の完成された肉体がインパクトの有る映像で披露してあった。一方のキッドマンの魅力の表現法は衣裳であろう。同様に完成された肉体を際立たせる衣服をその場面毎に着用させている。例えばこれから何千もの牛を引き連れるという場 面で不釣り合いな乗馬服であったりしてはいるが、品良く似合う代物ではあった。  本編は男女の恋愛の糸にもう一本の色違いの少年への愛情の糸が絡んだ物語ではあるが、二人の愛情の温度差と少年に対するそれが、次に大きな悲劇を齎そうとする。勿論その際に太平洋戦争前夜の状況が効果的に挿入され緊張感を高めている。最後に悲劇が訪れたかに思えたときに男の活躍により少年は救出される。但し全編を通じペシミスティックな感は無いので、安心して観られるところも、この作品を第一級にしている所以であろう。 またこの映画のオーストラリア先住民たるアボリジニに対する配慮も、民族歴史という背景では大きな流れになっており、愚かな白人主義に対する憤りさえも感じられる場面も観られた。最後に手元に置こうとする女性の愛情を離れ、衣服まで脱ぎ捨ててアボリジニとして行く少年を呪術師の祖父が迎え、旅から帰ったと表現する辺りは、民族の融合されない一面を表すと共に主人公の女性の中にある価値観でさえ不完全であると主張している点は、エンターテイメントの枠を少し超えて格調の高い仕上がりとなっていた。 取って付けた話のようだが、当時の歯科治療はどんなものだったなかと、二人の明眸皓歯の口元を観て思い付いた。現在多用されているコンポジットレジン(プラスチック)は未だ開発されてはおらず、前歯の虫歯を修復する方法は無かったはずである。水銀を含んだアマルガム治療は存在していたから、噛み合わせの部分や隣接面の虫歯は、ベルトで回転を伝える低速のタービンでごりごり削られて、アマルガムを詰められたであろう。麻酔はガラス筒にゲージの太い注射針を付けたもので施されていたから、痛みは現在の比ではない。なにしろ薬液が入らないから力を入れるしかなかったのである。アマルガムは最後に黒く見えて見栄えは悪い。隣接面などは汚く見えたはずである。ただ入れ歯に関してはゴムで有名なチャールズ・グッドイヤーが硬化(蒸和)ゴムの開発に成功し、爆発的に義歯の需要が増えたらしい。歯ブラシも豚毛の大きいもので、ナイロン毛はまだ無い。歯磨粉もケイ素の入った歯が磨耗しやすいものしかないから、余程注意深く、口腔内の清掃を習慣付けないと、明眸皓 歯は覚束なかったのではないかと推測するのである。

ポリスマガジン 2008年11月号


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