いがらしデンタルクリニック

港区新橋の歯科 いがらしデンタルクリニック|駅前徒歩2分の歯医者
東京都港区新橋1-9-1 北川ビル3F 
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コラムvol.1~vol.7


vol.1 ●保険で義歯をなかなか作ってくれない

vol.2 ●一本の歯の価値

vol.3 ●よい歯医者の選び方

vol.4 ●良い歯医者の選び方があるなら・・・

vol.5 ●お口の中はブラックボックス1

vol.6 ●お口の中はブラックボックス2

vol.7 ●お口の中はブラックボックス3

vol.8~14 vol.15~22

vol.1 ●保険で義歯をなかなか作ってくれない


  「保険で義歯をなかなか作ってくれない。」患者さんの中にこのような訴えのある人が少なくない。
先日も或る患者さんと話がその部分に及んだ。又その理由も明らかではないように思われる。
私は都内の開業医で、勿論保険で義歯を作っているが、前述の理由を考えてみたいと思う。

 まずケーススタディとして上顎の無歯顎者を考える。下顎は治療不要とする。
初診日に主訴を聴き、検査と上下の顎堤(土手)と歯型の印象を採る。
これに基づいて上の個人トレー(プラスティックで作った印象用の器具)を作っておく。又は外注に出す。
次の日に上の顎堤の精密な印象を採る。この手順を省く歯科医も多い。
これに基づいて咬合床(プラスティックとロウで出来たもの)を作っておく。又は外注に出す。
第三日目にそれに基づいて噛み合せの高さ、顔貌をチェックする。又は噛み合わせの前後が不確かな場合はチェックバイト(噛み合わせを歯が有ったときの状態に戻すための検査)を採る。(この場合は第四日目になる)
第四日目にロウに人工歯が並んだもの(外注に出したもの)を試適して大体の噛み合わせと口元(顔貌)を診る。
第五日目に外注に出した完成品を患者さんにセットして噛み合わせと歯肉の何処かに当たりは無いか診る。
使えるようであれば、まず使っていただいて、翌日か翌々日に来てもらい調整する。
 その後も不具合の場合は調整を繰り返す。これが大体の手順であるが、最小でも回数で七、八回はかかる。
また保険収入としては40000円から47,000円位で、外注代が平均の値段で15000円から20000円(個人トレーと咬合床を自分で作ったときの差)になる。またセット日以降の調整料は何回来ても再診料(380円)しか得られない。
これが保険制度上の義歯作成の手順と内訳である。そして20000円から30000円の収入を一回30分で7,8回の治療時間で割ると割りの悪い仕事だということになる。因みにレジン(プラスティック)を歯に詰める場合だと30分で最低二本は出来るから5000円から7000円になる。また衛生士に途中から充填、研磨させる場合はそのニ、三倍の保険収入が入る。その意味でも割りは悪い。
従って歯医者は旧義歯の手直ししかしたがらなくなる傾向にある。その上義歯修理は割りが悪くは無い。

現在義歯の保険点数を上げる動きは無いし、総額で枠が嵌められている中でバランスも取れなくなるであろう。制度としては見直すべきだとは思うが、マクロの財政に於ける医療費(歯科治療はその中の一割程度に過ぎないが)を考えるとタコツボ的要求も如何なものか。それに2、3割アップしても現状は変わらないであろう。
私が保険の義歯を作る理由は、国立大学を出て、税金で通わせて貰ったということ。(私立大学にもかなりの割合の予算が割かれてはいるのだが)本音を言えば卑しくも保険医の看板を掲げて、保険の義歯は出来ませんは、人格を疑われてもむベなるかなと思える。
最後に私の歯科の師匠の名言を披露したい。「スーパーマーケットでも店先に赤字覚悟のディスカウント品が置いてある。全ての治療を黒字にしなければならないと考えるなら、歯医者はスーパー以下か。」

ポリスマガジン 2007年3月号


vol.2 ●一本の歯の価値→ →

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